Q1:健康診断や病院の検査で行う通常の採血は、動脈血ですか?静脈血ですか?
A1:通常の血液検査で採取されるのは「静脈血」です。主に肘の内側にある表在静脈(正中皮静脈など)から採血が行われます。静脈は皮膚の浅い位置を走っており、血管壁が薄く、血圧が低いため、安全に針を刺して止血することができるからです。動脈血を採取する「動脈採血」は、重篤な呼吸障害が疑われる救急・集中治療現場などに限定されます。
Q2:指先に挟んで測るパルスオキシメーターは、動脈血と静脈血のどちらを測っているのですか?
A2:パルスオキシメーターが測定しているのは「動脈血」の酸素飽和度(SpO₂)です。指先の毛細血管には動脈血と静脈血の両方が流れていますが、動脈血には心臓の拍動に伴うリズミカルな「脈波(容積変化)」があります。機器はこの脈波の拍動成分だけを検知し、静脈血や周囲組織の影響を光学的・電気的に差し引くことで、動脈血のみの酸素結合状態を正確に割り出しています。
Q3:なぜ動脈は体の奥深くにあり、静脈は皮膚の表面近くにあるのですか?
A3:これは人体が進化の過程で獲得した「生命維持のための防御メカニズム」です。動脈は心臓から送られる極めて高い血圧(収縮期血圧120mmHg前後)がかかっており、万が一切断すると大量出血を起こして数分で失血死に至る危険があります。そのため、骨や筋肉に守られた体の深部を通っています。一方の静脈は血圧が極めて低く(数mmHg程度)、傷ついても血小板による凝固と圧迫で止血が容易であるため、表面近くを走行しても致命傷になりにくい構造になっています。
Q4:一酸化炭素中毒になると、血液の色はどう変化しますか?
A4:一酸化炭素(CO)を吸入すると、血液は極めて鮮やかな「鮮紅色(チェリーレッド)」になります。一酸化炭素は酸素に比べて約200〜250倍も強力にヘモグロビンと結合する性質があります。COと結合したカルボキシヘモグロビンは、酸素と結合した時以上に鮮烈な赤色を呈するため、一酸化炭素中毒で重篤な低酸素状態に陥っている患者は、チアノーゼ(青紫色の顔色)にならず、一見すると血色が良く見えてしまうという特異な危険性を持っています。