みりん干しと一口に言っても、魚の種類や保存状態によって身の厚みや脂質含有量が大きく異なるため、一律の加熱時間では失敗します。代表的な「アジ」と「サバ」の特性に合わせたアプローチを押さえておきましょう。
アジのみりん干しの美味しい焼き方は、身が薄く火が通りやすいため「短時間加熱による水分の保護」が命となります。フライパン調理であれば極弱火で身を2分半、裏返して1分半の合計4分程度で十分です。過加熱は身をパサつかせ、硬化を招く最大の要因です。
対照的に、脂質が多く肉厚なサバのみりん干しの焼き時間は、じっくりと中まで熱を届ける必要があります。厚みがあるサバは、極弱火で蓋をして身面を5分、裏返して皮面を3分の合計8分前後が目安となります。滲み出たサバ自身の脂がクッキングシート上で適度にパチパチと音を立て、自らの脂で身を揚げるように加熱されるため、極上のジューシーさが生まれます。
また、家庭で重宝する冷凍みりん干しをそのまま焼く方法も確立されています。常温解凍するとドリップと共に旨味とタレが流出し、生臭さの原因になります。凍ったまま焼く場合は、フライパンにクッキングシートを敷き、凍った魚を乗せて酒小さじ1をシートの外側(フライパンの底)に振り入れて蓋をし、ごく弱火で加熱します。蒸気となった酒が解凍と加熱を同時に促進し、解凍の手間を省きながらふっくらとした弾力を復元させることができます。
もし調理後に冷めてしまった場合、電子レンジでのみりん干しの温め直しには注意が必要です。ラップをかけて高出力で温めると身の水分が一瞬で沸騰し、ゴムのように硬くなってしまいます。深めの耐熱皿に魚を置き、料理酒または水を数滴ふりかけ、ふんわりとラップをかけて200W〜300W(解凍モード等の低出力)で30〜40秒だけ優しく温め直すのが、作り立ての柔らかさを蘇らせる秘訣です。