「名入れは特別感があるから無条件に喜ばれる」という通説は、情報発信側の販売促進プロモーションによって強化されてきた側面が強い。ギフト通販サイトのレビュー欄には賛美が並ぶが、そこには「もらった本人の本音」ではなく「贈った側の自己満足(送迎後の高揚感)」が多く混ざり合っている点に留意しなければならない。
ネット上の誤解として顕著なのが、「アルファベットなら防犯上安全である」という思い込みだ。英語表記であっても、通りすがりの第三者がスマートフォンのカメラで撮影してSNS上で特定作業を行ったり、ひらがなと同様に読み取って子どもに接近したりすることは容易である。文字の言語体系ではなく、「公共空間で誰にでも視認できる位置に名前が記されていること自体」がリスクなのだ。
また、名入れフォントのデザイントレンドも急速に変容している。平成期に好まれた筆記体風の装飾文字やポップ体は、インテリアや育児グッズをアースカラーやミニマルデザインで統一したい現代の親たちから「生活空間のノイズになる」と敬遠されがちだ。目立たない同系色の織りネームや、裏面への控えめなレーザー刻印など、「隠れた特別感」こそが洗練された気配りとして受け止められている。