消費者が最も混同しやすいのが、「一括1円」と「実質1円」の法的位置づけと権利関係の違いです。一言で表現すれば、一括1円は「購入(売買契約)」であり、実質1円は「実質的な長期レンタル(リース契約)」に近い性質を帯びています。
ドコモが主力として展開するいつでもカエドキプログラム(および上位のプログラム)は、本体価格から2年後の想定下取り価値(残価)をあらかじめ差し引き、残りの金額を23分割して支払う仕組みを採用しています。ここに「他社からの乗り換え(MNP)」に伴う割引を重ね合わせることで、「月々の支払額を1円、23か月間の総額を23円」に抑え込む手法が、いわゆる現在の「実質1円」の正体です。
最大の違いは、契約終了時の「端末の帰属先」にあります。一括1円で購入した端末は完全に購入者の資産となるため、何年使い続けようが、フリマアプリで売却しようが自由でした。対照的に実質1円は、ドコモに端末を返却して初めて残債の支払いが免除されます。もし端末を手元に残したい場合は、据え置かれていた高額な残価を一括または再分割で支払わなければならず、最終的な負担額は跳ね上がります。
さらに見落とされがちなのが、端末返却時の査定ハードルです。公式の利用規約には、返却された端末に「画面割れ」「筐体の著しい破損」「電源が入らない」といった不備が認められた場合、最大2万2,000円(不課税)の故障時利用料をユーザーが負担しなければならない旨が明記されています。2年間無傷で維持できなければ、1円で手に入れたはずの端末が思わぬ出費を招くリスクを内包しているのです。