ハ長調とは?なぜ調号なしなのかドレミの決定的な違いと理論の真相

ハ長調とは?なぜ調号なしなのかドレミの決定的な違いと理論の真相

ハ長調とは?なぜ調号なしなのかドレミの決定的な違いと理論の真相についての真相を徹底解説します。

楽譜のト音記号の右隣に、変化記号が何も書かれていない状態を「調号なし」と呼びます。全12種類の長調の中で、なぜハ長調だけが♯(シャープ)も♭(フラット)も必要としない特権的な地位を与えられているのでしょうか。この調号なしの理由は、西洋音楽の記譜法と鍵盤楽器が発展してきた歴史的経緯にあります。

歴史的な事実として、「白鍵だけの調を作った後にハ長調と名付けた」のではなく、「教会旋法(モード)の基準体系を記譜するために作られた文字譜が、鍵盤の白鍵の並びとして固定化された」という順序が正確です。古代ギリシャから中世のグレゴリオ聖歌に至る教会旋法では、現在の白鍵に相当する音(幹音)が音楽の基礎でした。その後、17世紀から18世紀にかけて長調・短調による調性音楽が確立される過程で、「C(ハ)」から始まるイオニアン旋法が「明るい響きの標準(メジャースケール)」として採用されたのです。

仮に「ソ(G)」から長音階を作ろうとすると、第7音のファを半音上げて「ファ♯」にしなければ「全・全・半・全・全・全・半」の秩序を維持できません。そのためト長調には♯が1つつきます。ハ長調は、中世以来の鍵盤設計の基準点(幹音の並び)と、近代和声学が求めた長音階の構造が奇跡的に完全に一致したポジションであったため、結果として調号を一切置く必要がなくなりました。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。