ある物質が酸化剤として働いたのか、それとも還元剤として働いたのかを機械的に判定する唯一無二の指標が「酸化数」です。酸化数とは、化合物を構成する各原子が電気的にどれだけ電子を失っているか、あるいは得ているかを数値化した「仮想的な電荷」にすぎません。
酸化数を求めるためのルールは、極めてシンプルです。
- ルール1:単体の原子の酸化数は常に0(例:$H_2$、$O_2$、$Fe$など)。
- ルール2:化合物中の水素(H)は基本的に+1、酸素(O)は基本的に-2(※例外:過酸化水素 $H_2O_2$ 中のOは-1、水素化ナトリウム $NaH$ 中のHは-1)。
- ルール3:化合物全体を構成する原子の酸化数の総和は0、多原子イオンではそのイオンの価数に等しい。
この酸化数を用いた、酸化剤・還元剤の決定的な見分け方フローは次の3ステップに集約されます。
【ステップ1】反応前(左辺)と反応後(右辺)で、単体から化合物、あるいは化合物から単体へ変化している注目元素をピックアップする。
【ステップ2】その元素の反応前後の酸化数をそれぞれ算出する。
【ステップ3】酸化数が「減少」していれば電子を受け取ったためその物質は酸化剤、「増加」していれば電子を放出したためその物質は還元剤と即座に断定する。
この絶対ルールを適用すれば、未知の複雑な化学反応式であっても、迷うことなく酸化剤と還元剤の違いを特定することが可能です。