かつて自動ドアの事故事例として後を絶たなかったのが、扉と方立(枠)の間に指や身体が引き込まれる「挟まれ・引き込み事故」でした。とりわけ好奇心旺盛な幼児や、反射神経が低下した高齢者が巻き込まれるケースは後を絶ちませんでした。この構造的リスクを根本から撲滅すべく策定されたのが、歩行者用自動ドアの包括的な安全基準を定めたJIS A 4722(歩行者用自動ドアセット―安全性)です。 JIS A 4722では、単に起動センサーを設置するだけでは不十分とされ、ドアの軌道面全体および引き込み部近傍をカバーする自動ドア挟まれ防止補助安全センサーの導入が事実上義務付けられています。扉が開いている最中、あるいは閉まる最中に人が検知エリア内に留まっている場合、システムは直ちに反転動作、もしくは緩やかな停止動作へと移行します。万が一、閉鎖途中で何らかの物体に接触した場合でも、ドアの作用力(挟まれた際に身体にかかる衝撃荷重)は150N(約15kgf)以下に制限され、接触直後に自動反転するセーフティ機構が作動します。 さらに、開き戸(スイングドア)と比較した際、高齢者安全設計スライド自動ドアが圧倒的な支持を集める背景には、動作スペースの予測可能性と転倒リスクの極小化があります。スイングドアは押し開く際に利用者の立ち位置を後退させる必要があり、バランスを崩しやすい弱点が存在します。これに対し、開口部が真横にスライドし、かつ敷居(レール)の段差を床面から5mm以内(理想はゼロ段差のフラット納まり)に抑えたスライド自動ドアは、つまずきを防止しながら視覚的にも進行方向をクリアに示すため、物理的バリアと心理的バリアの双方を同時に解消します。
自動ドアのユニバーサルデザイン徹底解剖|最新安全基準と盲点の真相
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