まず押さえておきたいのが、言葉の基本構造です。「馬齢」の読み方は「ばれい」であり、「馬齢を重ねる(ばれいをかさねる)」と読みます。辞書的な意味は「いたずらに無駄な年月を過ごすこと」「ただ歳をとるばかりで何の役にも立っていないこと」であり、自分自身を卑下してへりくだる際に用いる謙遜表現にあたります。
この表現の語源・由来には、主に中国の故事や馬の生態にまつわる興味深い背景が存在します。古来、馬の年齢は歯の生え方やすり減り具合(歯形)を見て鑑定されていました。人間のように社会的な功績や知恵を積み上げるのではなく、ただ生きて餌を食み、歯を摩耗させながら年をとっていく馬の様子から、「何の功業も立てずにただ生きてきた我が身」を馬の年齢に例えて自嘲したのが始まりとされています。
中国・唐代の詩人である白居易(白楽天)の詩集『白氏文集』などにも馬齢に類する自省の言及が見られ、古くから知識人の間で「自己を戒め、謙遜する表現」として受け継がれてきました。つまり、「馬齢」という単語そのものに「価値のない加齢」という強い自虐の意味が内包されているのです。