1976年、東京都に生まれた三浦しをん氏は、国文学者である父・三浦佑之氏のもと、幼少期から本に囲まれて育ちました。早稲田大学第一文学部へ進学した同氏は、当初から小説家を目指していたわけではなく、卒業後は出版社への就職を志望していました。しかし就職活動は難航し、大手出版社の入社試験で最終面接まで残るものの不採用となります。
その際、面接官を務めていた編集者の村上達朗氏がエントリーシートに書かれた文章の非凡さに着目。「小説を書いてみないか」と声をかけたことが、作家・三浦しをん誕生の決定的な転機となりました。大学卒業後、書店や外食チェーンでのアルバイト生活を送りながら原稿を執筆し、2000年に自身の就活体験を下敷きにした青春小説『格闘する者に○』で鮮烈なデビューを飾ります。
デビュー後も着実に筆力を磨き、2006年には架空の地方都市を舞台に便利屋を営む男ふたりの人間ドラマを描いた『まほろ駅前多田便利軒』で第135回直木賞を受賞しました。当時29歳という若さでの受賞は大きな話題を呼び、一躍人気作家としての地位を確立することになります。