ロバート・ダウニー・Jrという希代の俳優が見せた演技の真骨頂は、無敵のヒーローが抱える「脆さ」の表現にあった。毒素に侵され、自らの死期を悟った男が魅せる狂気と虚無感。誕生日パーティーでのスーツ暴走や、不器用な愛の告白は、彼独自の即興性と深い人物理解から生み出されたものだ。
マーベル・シネマティック・ユニバースの歴史において、単なる超人バトルではなく、死の恐怖やPTSDといった人間的な苦悩をストーリーの核に据えた意味は大きい。パラジウムの毒は、トニー・スタークという人物の弱さと強さを同時に浮き彫りにする最高の劇薬だったのだ。