ホテルイタリア軒の歩みは、日本の西洋料理史そのものといっても過言ではありません。物語の始まりは1874年(明治7年)、フランスの曲馬団(チャリネ曲馬団)にコックとして同行していたイタリア人、ピエトロ・ミリオーレ(Pietro Migliore)が新潟の地で病に倒れたことに端を発します。
異国の地で孤立したミリオーレを手厚く介抱したのが、人情味あふれる新潟の町民たちでした。回復した彼は新潟への恩返しとして、自らの腕を振るう小さな西洋料理店を開業。当時の新潟県令(知事)であった楠本正隆らの支援を受け、西堀通の地に誕生した本格西洋レストランこそが、現在のホテルイタリア軒(新潟)の原型です。
創業当時の屋号「イタリア軒」は、新潟の人々に本場のパスタや肉料理、パンの味を伝え、瞬く間に社交場としての地位を確立しました。大火や震災といった幾多の困難を乗り越えながらも、ミリオーレの情熱とおもてなしの心は途切れることなく受け継がれ、今日まで古町のシンボルとして愛され続けています。