結論から言えば、物理的な軌道としてのダウンスイング(上から下へ鋭角に振り下ろすスイング)は、現代の打撃力学において完全に「非効率」と結論づけられています。その最大の理由は、投手が投じるボールの進入角度と衝突エネルギーの伝達効率にあります。
投手が投げるボールは、マウンドの傾斜(高さ約25.4cm)と重力の影響により、水平よりも約6度から10度前後の下向きの傾斜角度(ディセンディングアングル)を描いてベース上を通過します。これに対してバットを上から下へ鋭角に振り下ろすと、ボールの軌道とバットの軌道が交差するゾーンは「点」でしか存在しません。わずか数ミリのタイミングのズレが空振りや打ち損じに直結します。
米メジャーリーグ(MLB)から始まり、今やNPB(日本プロ野球)でも打撃評価の基準となった「バレルゾーン(打球速度約158km/h以上、打球角度25〜30度の高長打率エリア)」を安定して生み出すためには、投球軌道に対してバットを平行に入れるスイングプレーンが必須条件です。上から叩きつけるスイングでは、バックスピンをかけようとしてもボールの上っ面を叩いてボテボテのゴロになるか、下を擦って力のないポップフライになる確率が跳ね上がることがデータで立証されています。