豪快なアクションやボス役のイメージが強い彼だが、演技派としての真骨頂を見せたのが、松本清張原作の名作『砂の器』だ。宿命に翻弄される親子の悲劇を追うベテラン刑事・今西役を演じた彼の芝居は、観客の涙を誘い、昭和映画史に残る白眉と称された。
言葉少なに事件の真相へと迫る静かな執念。東北の寒村を歩く後ろ姿だけで哀愁を漂わせる表現力は、彼の演技の幅広さを証明してみせた。ド派手なアクションスターとしての顔を持ちながら、人間の業や悲哀をここまで深く体現できる役者は、当時の日本映画界を見渡しても極めて稀有だった。