物語のクライマックスでは、京都の街一帯に正体不明の「風邪の神様」が猛威を振るい、これまで登場した奇人たちや大富豪・李白までもが次々と高熱に倒れていきます。
町中が沈鬱な空気に包まれるなか、黒髪の乙女は李白から譲り受けた特効薬「感冒薬」を手に、看病のため夜の街を駆け巡ります。乙女が看病を続ける過程で、自分が巡ってきた夜のすべての縁が、実は陰ながら自分を追い続けていた「先輩」の存在と繋がっていたことに気付き始めます。
そして最後に乙女が訪れたのは、重度の風邪をこじらせて自室でひとり悶絶していた先輩の部屋でした。妄想と自己反省の嵐の中で苦しんでいた先輩のもとに現れた乙女。ふたりは互いの思いと言葉を交わし、長かった夜がついに明けていきます。
ラストシーンでは、澄み切った朝の光が差し込む喫茶店「進々堂」で、ふたりが並んで温かいコーヒーを飲む姿が描かれます。「こうして出会ったのも、何かのご縁ですね」と微笑む乙女に対し、先輩が力強く応える爽やかな結末は、観る者に清々しい余韻を残します。