田岡の存在を語る上で欠かせないのが、昭和の歌姫・美空ひばりとの密接な関係である。1950年代、トラブルが絶えなかった若き日のひばりを擁護し、彼女の全国巡業を全面的にバックアップしたのが神戸芸能社だった。ひばりにとって田岡は頼れる親父であり、芸能界のあらゆる荒波から庇護してくれる絶対的な盾だった。
ひばりの実父の死後、田岡は彼女の後見人として業界内に隠然たる影響力を発揮する。民放テレビ局の発足やレコード産業の爆発的な成長とともに、芸能ビジネスの規模は拡大。巨大な利権が絡む中で、田岡の差配は絶対的な効力を持ち、テレビ局や大手プロダクションも無視できない闇の権力構造が完成していった。