成人期の発達障害において、近年急速に研究と報道が進んでいるのがASD大人の特徴女性に関する実態です。幼少期の男児に多く見られる多動や著しい孤立傾向と異なり、女性のASD当事者は高い言語能力や周囲を観察する能力を駆使して、定型発達者の振る舞いを模倣する「カモフラージュ(擬態・マスキング)」を行う傾向が顕著です。
テレビ特番の密着ドキュメンタリーや当事者手記でも語られている通り、彼女たちは学生時代から「どのタイミングで相槌を打つべきか」「どのような服を着ればグループに馴染めるか」をまるで台本を覚えるように学習し、外面的な適応を維持してきました。しかし、この擬態には膨大な認知的エネルギーを消費するため、30代を迎え責任が増した段階や、結婚・出産などの環境変化を機に糸が切れたように適応障害を起こし、初めて心療内科を訪れるケースが頻発しています。
さらに見逃せないのが感覚過敏大人の特徴です。オフィスの蛍光灯のチラつきが耐えられない、フロアの電話の呼び鈴やキーボードの打鍵音で思考が完全に停止する、特定の衣類のタグや化繊が皮膚に触れると激痛に似た不快感を覚えるなど、感覚統合の偏りが日常生活を著しく消耗させています。同時に、大人の自閉症こだわりが強いという特性は、「自分のルーティンが崩れることへの強い恐怖」として現れ、予測不能なアクシデントに直面すると感情のコントロールを失ってしまう要因となっています。