現在、スタジオの心臓部としてフル稼働しているのが、最高峰の立体音響システムDolby Atmosに完全準拠したMAルームだ。天井および周囲360度に配置されたハイエンドスピーカー群はミリ単位でキャリブレーションされており、音が空間内を自在に移動する軌跡を完璧に再現する。
映像に合わせて台詞、効果音(SE)、劇伴(BGM)の音量や音質を整えるMA(マルチオーディオ)作業において、この音響環境は圧倒的なアドバンテージをもたらす。従来のサラウンドでは表現しきれなかった雨粒の落下位置や、キャラクターの背後を通り過ぎる風の気配までが、手に取るようなリアリティで構築されていく。
スタジオマネージャーへの取材によれば、この最新鋭ルームを中心としたMA編集室の予約状況は、数カ月先まで映画会社や大手配信プラットフォームの案件で過密状態が続いているという。「単に機材が新しいだけでなく、空間の残響特性とエンジニアのチューニング能力が合致しているため、一度ここでミックスした監督は必ずリピートする」と関係者は明かす。まさに業界関係者のみぞ知る、極上のクリエイティブ現場の熱気がそこにある。