この独創的な世界観を生み出す中心人物が、シェフの田中俊大氏だ。洋菓子の基本を極めた職人でありながら、彼の視線は常にパティスリーの境界線を越えている。伝統的な高級洋菓子が持つ重厚な味わいと、現代的な軽やかさの完璧な均衡。それをグラスという縦横無尽のキャンバスの上で力強く表現する。
「パフェは時間とともに変化する彫刻のようなもの」——そう語るかのように、彼の作る作品は上部から下部にかけて緻密な仕掛けが施されている。例えば、表面を覆う繊細な飴細工やチョコレートのパーツを崩すと、中から温かいソースや甘酸っぱいジュレが溢れ出す。視覚的な驚きだけではない。口に含んだ瞬間の冷たさと温かさ、カリッとした歯ごたえとなめらかな口溶けが交錯し、一瞬たりとも退屈させない構造美が成立している。