切る瞬間は麻酔とアドレナリンで乗り切れたとしても、現実的な苦難は出産後に訪れます。多くの母親が検索窓に打ち込む「会陰切開 痛み いつまで」という切実な悩みに対し、現場の臨床経過と患者の証言を検証しました。
痛みのピークは、麻酔が完全に切れる産後当日夜から産後2〜3日目にかけて訪れます。起き上がる、ベッドから降りる、トイレで排尿・排便する、授乳用チェアに座るといった動作のたびに、局所にズキズキとした激痛が走ります。通常、組織の初期癒合が進む産後1週間(退院を迎える頃)には鋭い痛みが鈍痛へと変わり、産後2〜3週間が経過する頃には日常生活で意識することがほとんどなくなります。
しかし、退院前後になっても痛みが一向に引かない場合、その元凶となっているのが「縫合糸」です。現代の産科では自然に体に吸収される合成吸収糸(溶ける糸)が多用されますが、皮膚が引き攣れることで会陰切開の傷跡につっぱり感やチクチクとした異物痛が生じます。
ここで知っておくべき重要な事実が、「溶ける糸であっても、産褥診察で抜糸してもらうと劇的に痛みが軽快するケースが多い」という点です。「溶ける糸だから抜糸は不要」と思い込み、1か月健診まで我慢し続ける母親が後を絶ちません。しかし、傷口がくっついていれば、産後4〜5日目の退院時診察で結紮部をチョキンと切って抜糸してもらうだけで、座れないほどの引き攣れ感が嘘のように消失します。なお、会陰切開の抜糸に伴う痛みは、眉毛を毛抜きで抜く程度の一瞬のチクッとする刺激に過ぎず、恐れる必要はありません。