犬と猫の間で子どもが生まれない理由は、単に「見た目やサイズが違うから」ではありません。DNAの構造、染色体の数、そして数千万年に及ぶ進化の歴史という、生物としての根幹部分がかけ離れているためです。
第一の壁となるのが染色体数の圧倒的な違いです。イヌ(イエイヌ)の染色体数は78本(39対)であるのに対し、ネコ(イエネコ)の染色体数は38本(19対)しかありません。有性生殖を行う動物は、父方と母方からそれぞれ染色体を半分ずつ受け取って対を作りますが、数がここまで異なると受胎の第一歩である相同染色体の対合が物理的に不可能です。
第二に、分類学上の決定的な乖離が挙げられます。イヌとネコは同じ食肉目(ネコ目)に属しているものの、約5,000万年前に「イヌ型亜目」と「ネコ型亜目」へと完全に分岐しました。ライオンとトラ(同属異種)から生まれる「ライガー」や、ロバとウマから生まれる「ラバ」のように、近縁種間であれば雑種が生まれるケースもありますが、イヌとネコは「科」のレベルで大きく隔絶しており、生殖隔離の壁を越えることはできません。