戸別訪問を行うエホバの証人の信者には、一般的な訪問営業や近隣住民とは明確に異なる視覚的特徴が存在します。インターホンのカメラ越しや玄関先で一目見れば、高い確率で見分けることが可能です。
最も典型的なのは「スーツを着た男性二人組」あるいは「ロングスカートを着用した女性二人組」という組み合わせです。場合によっては年配の女性と若い女性、あるいは夫婦と見られる男女ペアで行動することもありますが、原則として単独ではなく2人1組(バディ制)で行動します。これは聖書の記述(弟子たちが2人ずつ遣わされたこと)に倣った組織的な取り決めによるものです。
服装のディテールにも顕著な共通点が見られます。男性の場合は、ビジネス用というよりも冠婚葬祭に近い落ち着いたダークスーツに白や淡い色のワイシャツ、派手さを抑えたネクタイを着用しています。一方、女性は膝下から足首近くまで隠れる長めのスカートやワンピースを着用し、露出を極端に避けたコンサバティブな装いが定着しています。髪型も清潔感を意識しつつ、過度な染髪や奇抜なスタイルは避けられ、落ち着いたトーンで統一されています。
持ち物にも明確なサインがあります。かつては分厚い革張りの聖書や雑誌『ものみの塔』『目ざめよ!』を収めた黒いショルダーバッグや手提げカバンがトレードマークでしたが、現在はデジタル化が進み、タブレット端末やスマートフォンを手に持ち、画面を見せながら話しかけてくるスタイルが一般的です。資料をスマートに提示しつつも、手元にはカラフルなリーフレット(パンフレット)を数枚忍ばせているケースが目立ちます。