ネット上の掲示板やSNS動画には、手軽さを謳った危険なメンテナンス情報が氾濫しています。現場のエンジニアが最も警戒を促しているのが「接点復活スプレーの外装隙間からのダイレクト噴射」です。
市販のオイルスプレー系接点復活剤をシェルを分解せずに吹き込むと、毛細管現象によって基板全体に油分が拡散します。この油分が液晶パネルの偏光板や反射板の隙間に侵入すると、二度と除去できない油染みとなり、画面表示を恒久的に破壊します。さらに、基板上のホコリを吸着して粘着質な導電性スラッジを形成し、数カ月後に微小ショートを引き起こす原因にもなります。ケミカル類は必ず分解した状態で、綿棒を用いて「点」で塗布するのがプロの鉄則です。
また、近年大流行しているIPS液晶カスタム手順にも、一般には語られない落とし穴が存在します。純正の反射型TFT液晶と比較して、現代のバックライトIPS液晶は消費電力が数倍に跳ね上がります。初代GBA特有の仕様として、基板のリビジョン(マザーボードに印字された01から40のナンバー)によって液晶フレキのピン数(32ピンまたは40ピン)が異なります。2026年現在の最新カスタムキットは自動検出回路を備えたユニバーサル型が主流ですが、古い世代の中古キットを流用する場合はピン数の一致が不可欠です。
さらに外装シェル交換詳細まとめとして留意すべきは、サードパーティ製シェルの金型精度です。純正シェルはガラス繊維混入の肉厚なABS樹脂で極めて高い剛性を誇りますが、安価な互換シェルは薄く、ネジを締め込みすぎるとネジ受けのボスが簡単に破断します。IPSパネルを収めるためのリブ削り加工済みシェルを購入する場合でも、基板を仮組みしてボタンの押し心地やシェルの合わせ目に隙間が生じていないか、目視でクリアランスを確認する工程を絶対に省略してはなりません。