MLBの分配金制度において最も人間臭く、時にシビアなドラマを生むのが「シェアの決定方法」です。球団フロントや監督が決めるのではなく、レギュラーシーズン終盤に開かれる「選手だけの秘密ミーティング」における無記名投票によって、誰にどれだけの割合を渡すかが1人ずつ審議されます。
配分の形態には、主に以下の3つのランクが存在します。
- フルシェア(Full Share / 100%満額):
シーズンを通じてロースターに定着し、勝利に大きく貢献した選手、監督、主要コーチ陣に与えられる満額の権利。 - パーシャルシェア(Partial Share / 部分配分):
シーズン途中にトレードで加入した選手、怪我で長期離脱した選手、シーズン途中で他球団へ放出された選手、サポートスタッフなどに与えられる「0.5シェア(半額)」や「0.25シェア(4分の1)」などの按分枠。 - キャッシュ・アワード(Cash Award / 現金賞):
クラブハウスの用具係、トレーナー、マッサージ師、広報担当、遠征先のお世話係など、裏方スタッフに対して感謝を込めて数千ドル〜数万ドルの定額を贈呈する枠。
例えば、ドジャースが優勝したシーズンの分配記録を見ると、フルシェアが約80人分前後発行されるのに対し、パーシャルシェアや現金賞が数十人に細かく割り振られています。シーズン途中に怪我で戦線離脱したベテラン選手であっても、ベンチで若手を鼓舞し続けた功績が認められてフルシェアが満額可決される感動的なケースがある一方、チームの規律を乱した選手が減額される冷徹な現実も存在します。
「チームを支えてくれたクラブハウスキーパーやバッティングピッチャーに、どれだけの現金賞を包むか」という議論には、スター選手たちの度量と人徳が色濃く反映されます。自分たちの取り分をわずかに削ってでも裏方の労をねぎらう文化が、メジャーリーグの強靭な組織力の根底にあるのです。