SNSや大手コミュニティサイト(知恵袋、医療系体験談投稿サイトなど)の投稿を精査すると、「足の裏にできたほくろを数年間放置していたら、実はメラノーマだった」「急にできた爪の黒い線にパニックになり皮膚科を受診したが、単なる良性の色素沈着だった」という両極端の事例が数多く報告されています。
実際に皮膚科外来を受診した患者の生の声からは、早期発見に至った共通パターンと、逆に発見が遅れた背景が明確に浮かび上がります。
「会社の健康診断で医師から『足の裏のほくろ、一度皮膚科でダーモスコピーを当ててもらった方がいい』と指摘されて受診した。自覚症状はゼロだったが、初期のメラノーマ(ステージ1)と診断され、即座に手術で切除できた。あの時指摘されなければ絶対に放置していた」(40代・男性の手記より)
一方で、手遅れになりかけた患者の手記では、「痛くも痒くもなかったので、ただの靴擦れや血豆だと思い込んでいた」「ネットで症例写真を検索し、自分のほくろと色が違うから大丈夫と勝手に納得してしまった」という告白が目立ちます。皮膚病変の見え方は肌の色や肌質、発症部位によって千差万別であり、ネットの写真と完全に一致するとは限りません。
皮膚科の臨床現場では、特殊な拡大鏡である「ダーモスコピー検査」が標準的に用いられます。病変部にゼリーを塗り、皮膚の浅い層から真皮上層の色素沈着パターンを拡大観察するこの検査は、痛みは一切なく、数分で終了します。良性のほくろに見られる「皮溝(皮膚の溝)に沿った平行パターン」と、メラノーマに見られる「皮丘(皮膚の盛り上がり部分)に沿った色素沈着パターン」をミリ単位で高精度に判別できるため、目視や写真比較だけの自己判断は極めてリスクが高いと言わざるを得ません。