物語の初期から壁を神の創造物として信仰し、一切の改修や扉の封鎖を拒絶していた宗教団体「ウォール教」。彼らの異様な狂信ぶりは、実は王家の秘密を守るための隠蔽工作でした。その中心人物であったウォール教 ニック司祭の行動には、今なお評価の高い進撃の巨人 壁の謎 伏線回収が凝縮されています。
ニック司祭は壁の中に巨人がいることを知りながら、調査兵団のハンジ・ゾエに対して「日光を当てるな」と激しく取り乱しました。これは、壁の中の巨人が光を浴びることで活動を再開し、制御不能なパニックを引き起こすことを防ぐための切実な警告でした。彼は後に中央憲兵の拷問を受け、爪をすべて剥がされながらも秘密を守り通して命を落とします。
さらに初期の単行本に掲載された「現在公開可能な情報」の『壁の坑夫』のエピソードも、極めて重要な伏線でした。ある坑夫がウォール・シーナの地下を掘り進めて脱出を試みたところ、地中深くにも地上と同じ硬質な壁がどこまでも続いており、その後坑夫が憲兵に粛清されたという怪談めいた短編です。この伏線は、壁が地上だけでなく地下深くまで巨人の足によって固められているという構造的真実を早期から暗示していました。