インターネット上のレビューやSNSの投稿において、来館者が抱きがちな典型的な誤解がいくつか散見されます。訪問時のギャップを防ぐために、以下の盲点を事前に理解しておく必要があります。
第一の誤解は、「いつでも葛飾北斎の『神奈川沖浪裏(波富士)』や歌川広重の有名作品が見られる」という思い込みです。前述の通り、浮世絵版画は極めて繊細な美術品であり、1回の展示で数週間公開した後は暗所で長期間休眠させる必要があります。そのため、目当ての特定作品がある場合は、該当の展覧会に出品されているかどうかを出品目録で事前照合することが欠かせません。
第二の盲点は、館内の鑑賞スタイルと撮影ルールです。大型の国立美術館のような広大な空間ではなく、小ぶりな展示ケースに近づいて細密な筆致や木版の木目を味わう空間設計となっています。また、著作権が切れている古典作品であっても、所蔵・展示の都合上原則として館内撮影禁止(一部のフォトスポットを除く)となっている点には注意が必要です。
さらに、地下フロアには靴を脱いで上がる畳敷きの鑑賞スペースが用意されています。日本建築の美意識を取り入れたこの場所では、江戸時代の人々が畳の上で浮世絵を手に取って眺めていた当時の目線に近い感覚で作品と対峙できます。靴の着脱がしやすい服装で訪れると、より快適に過ごすことができます。