大人の発達障害において、近年特に注目を集めているのが女性における特性の現れ方と、社会生活における「マスキング(擬態)」の問題です。
女性に多い「不注意優位型」と過剰適応の罠
幼少期のADHD男児に見られるような「教室内を走り回る」といった顕著な多動症状は、女性では目立たないことが多く、空想にふける・忘れ物が多いといった「不注意優位型」として潜在化しやすい特徴があります。また、ASDの女性は周囲の女子グループの会話パターンを観察し、必死に模倣(マスキング)して「普通の人」を演じる能力に長けているケースが少なくありません。
しかし、この擬態は脳に過大な負荷をかけ続けます。社会人になり、結婚や出産、昇進によってタスクがマルチ化・複雑化した途端に擬態が破綻し、30代〜40代で突然のバーンアウト(燃え尽き症候群)や重度のパニック障害を発症して初めて診断に至るという経緯が現場で頻発しています。
職場における合理的配慮の違い
企業が発達障害のある従業員に対して行う「合理的配慮」においても、特性に合致したアプローチの使い分けが不可欠です。
- ADHDへの配慮:指示を細切れにする、タスク管理ツールを併用してアラートを出す、マルチタスクを避け1つの案件に集中できる作業環境を用意する。
- ASDへの配慮:「なるべく早く」ではなく「〇月〇日17時まで」と数値化・具体化する、マニュアルをテキストや図解で明文化する、急なスケジュール変更を極力避けて事前に周知する。