リスナーが最も心を揺さぶられ、同時に疑問を抱く核心が「別れの歌なのに、なぜタイトルがハッピーエンドなのか」という点です。インターネット上のback number ハッピーエンド 考察でも常に議論の的となってきたこの問いには、幾重にも重なる感情のトリックが仕掛けられています。
歌詞全体を通して描かれるのは、恋人との関係が終わりを迎えるまさにその瞬間の情景です。「さよならが喉のところにつっかえてしまって」というフレーズが示すように、主人公の胸中は引き止めたい想いと未練で張り裂けそうになっています。しかし、実際に口から出るのは「大丈夫」「平気だよ」という相手を気遣う言葉ばかりです。
ここに、ハッピーエンド タイトルの理由が隠されています。主人公は、自分が泣いて縋り付くことで、相手に罪悪感や後味の悪さを残したくないと願っています。「あなたと過ごした物語を、悲劇として終わらせたくない」「あなたにとっての私は、最後まで物分かりの良い笑顔のままでいたい」という、痛々しいまでの自己犠牲精神が、この別れを無理やり「ハッピーエンド」という額縁に収めさせているのです。
つまり、このタイトルは客観的な事実を表す言葉ではなく、「あなたにとってのハッピーエンドにしてあげる」という主人公の哀しい嘘と祈りそのものと言えます。