長谷川町子氏による原作の新聞連載4コマ漫画『サザエさん』と、フジテレビ系列で放送されているテレビアニメ版とでは、タマの扱いに驚くほど大きな差異が存在します。
原作漫画を詳細に検証すると、磯野家には時期によって様々な野良猫や犬が出入りしており、特定の「タマ」という名前の白猫がレギュラーとして固定飼育されているわけではありませんでした。黒猫やトラ猫、名もなき野良猫が魚をくわえて逃げるシーンはあっても、首輪に鈴をつけた白いタマが家族同然に鎮座するフォーマットは、アニメ化の過程でフジテレビおよびエイケン制作陣が創出したオリジナル要素です。
アニメ版のスタッフがタマをレギュラーとして固定した理由は、磯野家という大家族の団らん風景において、「誰からも愛され、言葉を発しない中立な観察者」を配置することで、画面に柔らかな余白と安心感を生み出すためでした。この演出判断が見事に的中し、タマは半世紀を超えて日本で最も知名度の高い猫キャラクターとしての地位を確立しました。