美容師へのヒアリングやユーザー調査において、バンスクリップが崩れてしまう要因として最も多く挙げられるのが「クリップの噛み合わせと髪の接地面積の不一致」です。良かれと思ってやっているスタイリングが、実はクリップを滑落させる原因になっているケースが目立ちます。
第一のNG行動は、「毛先の束だけを挟んで地肌側の毛をすくっていない」状態です。バンスクリップは、頭皮に沿ったベースの髪(アンカーとなる部分)と、ねじり上げた毛束の双方を挟み込むことで初めてテコの原理が働き固定されます。浮いた毛束だけをクリップの先端で掴んでも、重力に負けて数分でずり落ちてしまいます。
第二に、スタイリング剤の油分過多が挙げられます。髪のパサつきを抑えるために重ためのヘアオイルやバームを根元近くまでたっぷり塗布してしまうと、クリップの爪(コーム部分)と髪の摩擦抵抗が失われ、固定力が半減します。スタイリング剤は毛先中心に馴染ませ、根元はドライな質感か軽めのキープスプレーで留めるのが鉄則です。
第三の盲点が、毛量とクリップサイズのミスマッチです。多毛の人が小さなクリップで無理やり全頭を留めようとするとバネに過度な負荷がかかって弾け、逆に猫っ毛や毛量が少ない人が大型クリップを使うとクリップ内部に空洞が生じて保持力を失います。クリップの爪の内周と、折りたたんだ毛束の厚みが1:1でフィットするサイズ選定が欠かせません。