ネット上の感想やコミュニティの口コミを見ていると、「ニックは食品衛生法違反や詐欺罪で逮捕されなかったのか?」という疑問の声が数多く散見されます。しかし、映画を細かく観察すると、ニックが法制度の穴を完璧に把握していたことが分かります。
まず衛生面に関して、ニックはジャンボアイスを溶かす際やシロップを注ぐ工程で直接素手で触れないよう道具を使い、路上での販売許可証(パーミット)もしっかり所持していました。ジュディが最初に詐欺を疑って詰め寄った際にも、ニックは「路上販売の許可証はあるし、嘘のストーリーを話しただけで無理やり買わせたわけではない」と涼しい顔で反論しています。
そんなニックの完璧な防壁を突き崩した決定打こそが、「脱税(所得税の未申告)」でした。
ジュディはニックが1日200ドルの現金収入を12歳の頃から20年間(年間365日無休として計算)にわたり得ていた自白を録音し、総額146万ドル(日本円にして約2億円以上)の未申告所得を指摘しました。アル・カポネをはじめとする実在の犯罪王が脱税で摘発されたアメリカの法執行史をなぞらえた、非常にシニカルでリアルな脚本の妙味がここに表れています。