物語全体の最大の謎であり、すべての名セリフの影に潜むのが「柚木普と柚木司の双子の過去」です。生前、1969年に13歳で亡くなった普。理科準備室に遺された月面着陸の記念チケット、全身に負っていた原因不明の傷、そして土籠先生が目撃した「未来を変えてしまった少年の運命」。
弟のつかさは、死後も無邪気な笑顔で「あまね!」と呼びかけながら、花子くんの心を根底から恐怖と罪悪感で支配し続けます。つかさが発する「願いを叶える代償に、人は大切なものを差し出すんだよ」という冷酷な真理は、彼が生前「神命神社」の底で何と契約し、何を代償として差し出したのかという凄惨な生前の真相へと結びついています。
普がつかさを殺害したという過去の罪。しかし、それは単なる兄弟間の憎悪による殺人だったのか、それとも人外の存在に変貌した弟を止めるための究極の選択だったのか。漫画が進むにつれて明かされる断片的な手記や回想のなかで、つかさの「あまね大好きだよ」という純真なセリフは、読者にとって背筋の凍る呪縛として反響します。この双子の因縁こそが、花子くんが自らを「罰を受けるべき悪霊」と規定し、現世に縛られ続ける根本原因なのです。