記号と並んで世界中のトレーダーや財務担当者を悩ませるのが、カラーコードの設計です。特に株価マイナス赤緑の解釈には、東洋と西洋の文化的な認知ギャップが浮き彫りになっています。
赤字黒字表記由来を紐解くと、もともとは近代会計の祖である西洋の複式簿記において、利益が出ている項目を「黒インク(Black ink)」、損失や欠損が出ている項目を警告色である「赤インク(Red ink)」で記帳したことが始まりです。「in the red(赤字で)」「in the black(黒字で)」という英語表現もこの慣習に直結しています。
しかし、株式や暗号資産の取引画面における「赤」の扱いは、東アジアと欧米で完全に二極化しています。
日本や中国をはじめとする東アジア市場では、伝統的に「赤」は太陽、情熱、慶事、吉祥を象徴する縁起の良い色とみなされてきました。そのため、相場が吹き上がるおめでたい状態を「赤」で表現し、逆に冷え込む状態を「青や緑」で表す設計が浸透しました。
対照的に欧米社会では、交通信号と同様に「緑=前進・安全(資産増加)」「赤=停止・危険(資産減少)」という認知が徹底されています。外資系証券の取引プラットフォームや米国のBloomberg端末を利用する際、画面全体が緑色に染まっていれば「全面高(大相場)」を意味し、赤一色に染まっていれば「暴落(パニック売り)」を意味します。日本海外マイナス色違いの構造を知らないままグローバル取引に挑むと、真逆の状況判断を下してしまう致命的なリスクがあるのです。