多くの人々が北斎を目当てに訪れるが、この寺が内包する歴史のレイヤーはそれだけではない。豊臣秀吉の飼い子として育ち、賤ヶ岳の七本槍として名を馳せた戦国大名・福島正則。彼は関ヶ原の戦いでの功績により広島城主となったが、後に幕府の怒りを買い、この信州小布施の地に改易・蟄居となった。
境内には正則の廟所があり、かつての天下人が静かに眠っている。武骨な武将が人生の最後に辿り着いた境地。その寂寥感と、北斎の放つ圧倒的なエネルギーが同じ空間に同居している不思議。これこそが、訪れる者の心を捉えて離さない二重奏なのだ。