検索エンジンにおいて「モンスターズインク 声優」と入力すると、関連ワードに「下手」というネガティブな語句がサジェストされることがあります。この言説の背景を検証すると、作品本来のクオリティとは無関係な、当時の日本エンタメ界の構造的な問題が浮かび上がってきます。
2000年代初頭、ハリウッド映画の日本語吹き替え版では、話題作りに偏重したタレントやアイドルの起用が急増していました。棒読みの演技や作品の世界観を壊すプロモーションに対して、映画ファンや声優ファンから強い反発が生まれていた時代です。『モンスターズ・インク』も公開前は「またお笑い芸人の客寄せパンダか」と強い先入観で叩かれる対象となっていました。
しかし、実際に映画館に足を運んだ観客の間で評価は激変しました。掲示板や当時の個人ブログでは「最初は不安だったが、観ているうちに石塚と田中の顔が消え、完全にサリーとマイクになった」「これほど役に溶け込んでいるタレント吹替は他にない」と絶賛の嵐が巻き起こったのです。
現在サジェストに残っている「下手」というキーワードは、公開前の予断や、近年に初めて作品を鑑賞した一部の先入観を持つ層が「実際はどうだったのか?」と検証するために検索した検索行動の痕跡です。客観的な映画レビューサイトやSNSの声を総括しても、本作の吹き替え演技に対するマイナス評価は極めて稀であり、むしろディズニー公認の傑作吹き替えとして認知されています。