本来、医療の臨床現場において「絶対に失敗しない」と言い切ることは、医療関係者にとって最大のタブーとされています。人間の生命を扱う以上、100%の成功を法的に保証することは不可能なためです。医師法やインフォームドコンセント(説明と同意)の観点からも、一般的にはリスクを丁寧に説明するのが通例となっています。
しかし、中園ミホ氏はあえてその禁忌に踏み込みました。「失敗しない」と言い放つことは、単なる傲慢やビッグマウスではなく、「患者の命を救うために自らを極限まで追い込む、外科医としての不退転の覚悟」を意味しています。劇中で大門未知子が語る「私にとって手術は生業(なりわい)」「失敗したら患者が死ぬ。だから失敗しない」というセリフが示す通り、それは他者への誇示ではなく、自分自身に向けた呪縛に近い誓いなのです。
主演の米倉涼子氏も、初期のインタビューで「最初はこんな生意気なセリフを言って嫌われないか不安だった」と率直に吐露していました。しかし、回を重ねるごとにこの言葉の裏にある「患者を絶対に死なせない」という未知子の祈りと職人気質を理解し、一言一言に魂を込めて発するようになったと振り返っています。虚勢ではなく極限の集中が生み出す言霊だからこそ、視聴者の心を揺さぶり続けました。