関西では、鱧を熱湯に通して氷水に落とす仕立てを親しみを込めて「鱧の落とし」と呼びます。「湯引き」と「落とし」は基本的に同義として扱われますが、いずれも素材の鮮度と下処理の精度が仕上がりを100%左右します。
家庭で手に入る「骨切り済み」の鱧を使い、料亭のクオリティへと引き上げる実践的な下処理と茹で方の手順を詳しく解説します。
【材料(2〜3人前)】
- 骨切り済み生鱧:1尾分(約250〜300g)
- 粗塩(下処理用):小さじ1
- 料理酒(下処理用):大さじ2
- 茹で湯用:水1.5リットル、酒大さじ2、塩小さじ1
- 氷水:ボウル1杯(氷たっぷりの冷水)
【失敗しない調理ステップ】
ステップ1:下処理(ぬめりと臭みの完全除去)
まな板の上に鱧の身を広げ、皮目に薄く粗塩を振って5分置きます。表面に浮き出た水分と生臭さの元となるぬめりを、キッチンペーパーで優しく押さえるように拭き取ります。その後、酒を全体に回しかけて軽く洗い流すようにペーパーで水気を完全に拭き取ります。このひと手間で皮の生臭さが完全に消え去ります。
ステップ2:食べやすい大きさにカット
鱧を幅約3cm〜3.5cmの一口大に切り分けます。小さすぎると茹でた際に身が崩れ、大きすぎると中心まで熱が均一に通らなくなります。
ステップ3:85〜90℃の湯で泳がせるように茹でる
鍋にたっぷりの湯を沸かし、酒と塩を加えます。沸騰したら極弱火にするか差し水をして85〜90℃に落ち着かせます。鱧の皮目を下にして静かに投入します。皮目のコラーゲンが熱でキュッと縮むことで、身側がパッと反り返り、まるで白い菊の花のように開きます。茹で時間は身の厚みに応じて20秒から最長30秒で十分です。
ステップ4:氷水へ15秒、そして徹底的な水気オフ
身が開いて白くなったら穴あきお玉ですくい、用意しておいた氷水へ一気に落とします。指先で触れて外側の粗熱が取れたら(約10〜15秒)、すぐさま引き上げます。バットに敷いた厚手のキッチンペーパーの上に並べ、上からもペーパーで優しく押さえて余分な水分を完璧に吸い取ります。水気を残さないことこそが、濃厚な鱧の旨味を凝縮させる最大の秘訣です。