視聴者のリアルな行動様式に目を向けると、テレビ受信機そのものの使われ方が劇的に変化している現実が浮き彫りになります。SNSやネット掲示板に投稿されるリアルな声を分析すると、家族内における「チャンネル権争い」という概念そのものが死語となりつつあることが窺えます。
「リビングの大型テレビでは祖父母と両親が紅白を流しているが、自分は自室でタブレットを開きTVer見逃し配信とリアルタイム視聴で民放のお笑いを見ている」(20代男性)
「大晦日格闘技RIZIN生中継をスマホのPPVで追いかけつつ、メインテレビは年越しカウントダウン直前まで無音でグルメ特番を流している」(30代女性)
このように、同一世帯内であっても個々人が別々のデバイスで異なるコンテンツを同時に消費する「パーソナル分散視聴」が完全に日常化しました。TVerの同時配信機能が年末年始特番に完全対応したことで、番組途中のCM跨ぎでチャンネルを変えるのではなく、複数の配信フィードを切り替えながら見たい場面だけをピンポイントでつまみ食いするスタイルが定着しています。
民放連の調査データでも、年末年始におけるコネクテッドTV(インターネットに接続されたテレビ端末)の利用率は前年比118%と大幅に伸張しており、大晦日における「視聴率」の概念は、電波を受信した世帯数から「あらゆるスクリーンでどれだけ再生されたか」というトータル・エンゲージメントへと評価基準が移り変わっています。