現在の甘樫丘は、凄惨な権力闘争の痕跡を感じさせないほど穏やかな緑に包まれています。標高約148m(比高約60m)の山頂付近にある甘樫丘展望台は、飛鳥地方屈指の景勝地です。
展望台からの眺望は、まさに「日本の黎明期」を鳥瞰する体験そのものです。北東には天香久山(あまのかぐやま)、北西には畝傍山(うねびやま)、真北には美しい円錐形の耳成山(みみなしやま)がそびえ、万葉集巻一の中大兄皇子の名歌「香具山は 畝傍ををしと 耳梨と 相あらそひき 神代より かくにあるらし」の舞台となった「大和三山」のトライアングルを完璧な角度で視界に収めることができます。
また、甘樫丘は四季を通じて異なる表情を見せてくれます。
春(3月下旬〜4月上旬)には、山頂展望台周辺や遊歩道沿いに約数百本のソメイヨシノやヤマザクラが咲き誇り、麓の斜面を彩る黄色い菜の花畑との鮮烈なコントラストが広がります。初夏には新緑が丘を覆い、秋(11月中旬〜12月上旬)にはエノキやモミジ、クヌギが深紅や黄金色に染まる紅葉のトンネルが現れます。さらに冬の澄んだ空気の日には、葛城山や金剛山の稜線に沈む夕日が息をのむ美しさを演出します。