なぜプロの雲は立体的?アナログ雲の描き方と劇的に質感が変わる3つのコツ

なぜプロの雲は立体的?アナログ雲の描き方と劇的に質感が変わる3つのコツ

なぜプロの雲は立体的?アナログ雲の描き方と劇的に質感が変わる3つのコツについて押さえておきたい 理由を分かりやすい構成で解説いたします。

アナログ技法を実践する絵師たちがSNSやコミュニティで頻繁に吐露するのが、「ぼかそうとして筆を動かしすぎ、紙が毛羽立って濁った」「白抜きが不自然な直線になってしまった」というトラブルです。アニメ背景会社や第一線のイラストレーターが手掛ける背景イラストアナログ技法の現場を調査すると、そこには感覚論を排除した徹底的な作業ルーティンが存在していました。

透明水彩:水分コントロールとティッシュリフティングの極意

雲の描き方透明水彩において最も重宝されるのが、塗った直後の絵の具を吸い取るティッシュリフティング技法です。あらかじめ紙を水で湿らせておく「ウェット・オン・ウェット」で青空のグラデーションを一気に敷き、乾ききる直前の絶妙なタイミングで、固く丸めたティッシュペーパーや海綿を紙面に押し当てて絵の具を吸い取ります。

現場のアトリエを取材すると、プロはティッシュの丸め方すら固定していません。ちぎった断面の毛羽立ちを利用してちぎれ雲の繊維感を再現し、指先で尖らせた部分で入道雲の複雑な輪郭をトントンと叩くように抜いていきます。さらに白さを強調したい箇所には水彩マスキングインク白抜きを併用し、強烈なコントラストの境界線を確保したのち、マスキング除去後に筆先を水だけで湿らせて境界の硬さをなでて馴染ませるという「一手間」を加えています。

アクリル&コピック:乾燥時間との戦いを制する現場の知恵

乾燥が早いアクリルガッシュの場合、パレット上での混色に時間をかけると紙に乗せる前に乾燥が始まります。現場のプロはリターダー(乾燥遅延剤)を水に数滴混ぜ、絵の具の可使時間を通常の約2倍から3倍に引き延ばして作業領域を確保しています。大ぶりの平筆で入道雲のベースとなる影色を素早く塗り広げ、半乾きの段階で乾いたファンブラシ(扇形筆)やスポンジを使って外周を叩き、雲のモヤを立ち上がらせるのが定番の手法です。

一方、コピック青空と雲のメイキングでは、紙の選定が勝負の半分を決めます。にじみ止めが効いた厚手の専用ケント紙を用い、空のベース色(B000やB02など)を塗った直後に、0番のカラーレスブレンダーのペン先を直角に当て、円を描くように溶剤を送り込んで染料を外側へ押し出します。乾いてからではブレンダーを使っても輪郭がシミ(ウォーターマーク)になって残るため、10秒前後のインク乾燥ウィンドウを見極める反射神経が現場では徹底されています。

色鉛筆:筆圧勾配による陰影設計

水彩やインクの扱いが難しいと感じる層から圧倒的支持を集める色鉛筆での雲の陰影表現ですが、ここでも単一の筆圧で塗ることは厳禁とされます。硬度の異なる鉛筆を使い分け、影の最深部にはインディゴや紫を極めて弱い筆圧で5回以上重ね塗り(レイヤリング)し、紙の目をつぶさないようにグラデーションを構築します。最後に白色の色鉛筆で境目を強く擦り込む(バーニッシング)ことで、陶器のような滑らかな雲の稜線が現れます。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。