「手軽に短期間で稼げる仕事」「海外コールセンター業務、渡航費全額負担」――SNSや掲示板に溢れる甘言こそが、かけ子への入り口です。近年は「闇バイト」という露骨な表現を避け、「テレポアポインター」「市場調査リサーチ」「代行入力」といった一見合法的な求人情報に偽装されています。
応募者が接触すると、即座にSignalやTelegramなどの秘匿性の高い通信アプリへの移行を指示されます。そこで手渡されるのが、犯罪組織が長年の蓄積から練り上げた「かけ子マニュアル」です。このマニュアルには、被害者の疑念を払拭するための心理テクニックがびっしりと書き込まれています。
公判記録で明らかになったマニュアルの実態によれば、「相手が沈黙したら名義貸しのリスクを強調して恐怖を煽る」「『あなたも共犯になる』と告げて正常な判断力を奪う」など、認知の歪みを突く周到なトークスクリプトが構築されています。さらに、相手が警察官の名前や部署を尋ねてきた場合の「切り返し話法」、本物の金融機関の連絡先を信じ込ませる「劇場型」の役柄連携(一次架電役、警察役、検察役の分担)に至るまで、完全にシステム化されているのが実態です。