過酸化ナトリウムの危険性を象徴するのが、水(H₂O)や二酸化炭素(CO₂)と接触した際に見せる激しい化学反応です。
常温の水と接触した場合、激しい発熱を伴いながら水酸化ナトリウムと酸素ガスを発生させます。その代表的な反応式は「2Na₂O₂ + 2H₂O → 4NaOH + O₂↑」です。反応熱によって発生した酸素が瞬時に高温化するため、周囲に紙くず、油分、有機溶剤などの可燃物があると、火花がなくとも瞬時に自然発火します。なお、氷冷した希酸と慎重に反応させた場合には、過酸化水素(H₂O₂)が生成される性質も持ちます。
また、二酸化炭素との反応も見逃せません。反応式は「2Na₂O₂ + 2CO₂ → 2Na₂CO₃ + O₂↑」となり、炭酸ナトリウムを生成しながら純粋な酸素を放出します。
この「二酸化炭素を吸収して酸素を供給する」という特異な性質を利用し、潜水艦、宇宙船の生命維持装置、鉱山用の呼吸再生器などにおいて空気清浄剤として応用されてきた歴史があります。しかし、密閉空間や高濃度の炭酸ガス下で急激に反応が進めば、局所的な過熱と酸素富化状態を作り出し、大事故の引き金となる二面性を秘めています。