ファンの間やメディアで幾度となく話題にのぼるのが、「宇多田ヒカルと藤圭子はどれほど似ているのか」という外見と才能の類似性です。昭和40年代の藤圭子の若い頃の画像や当時のテレビ映像を見返すと、切れ長で涼やかな目元、通った鼻筋、憂いを帯びた表情の輪郭に至るまで、デビュー当時の宇多田ヒカルと瓜二つであることに驚かされます。
しかし、似ているのは外見だけではありません。宇多田ヒカルが幼少期を過ごしたニューヨークのスタジオでは、父・宇多田照實氏がプロデュースを手掛け、母・藤圭子がボーカルを吹き込む姿を間近で見て育ちました。藤圭子は娘の音楽的才能を誰よりも早く見抜き、自らの知識やテクニックを押し付けるのではなく、感性のままに自由に歌わせる環境を整えました。
宇多田ヒカル自身もインタビューで「私の声のベースには確実に母がいる」と語っており、ハスキーでありながら聴き手の胸を鋭く刺す独特の声質や、言葉に感情を乗せる天性のフレージングは、藤圭子の遺伝子と教育がもたらした奇跡の結晶と言えます。