生のまま効率的にビタミンCを摂取する代表格が「大根おろし」です。しかし、ネットの口コミや料理コミュニティでは「すりおろすとビタミンCが酸化して消える」「時間が経つと栄養がゼロになる」といった不安の声も目立ちます。この現象の真相は、大根の細胞内に存在する酸化酵素「アスコルビナーゼ」に起因します。
大根をおろして細胞壁が破壊されると、ビタミンCと酸化酵素が混ざり合い、還元型ビタミンCが「脱水素型(酸化型)ビタミンC」へと変化します。かつてはこの酸化型は無効と信じられていましたが、近年の生化学研究により、酸化型ビタミンCも体内に吸収された後に還元され、美肌効果免疫力の維持に寄与することが判明しています。ただし、完全に酸化分解が進んでしまうと効果を失うため、以下の3つの鉄則を守ることが推奨されます。
- 食べる直前におろす:すりおろしてから20分以上経過すると、抗酸化作用を持つ辛味成分イソチオシアネートが揮発し、ビタミンCの劣化も進行します。
- 酢や柑橘果汁を一滴垂らす:アスコルビナーゼは酸に極めて弱い酵素です。ポン酢やレモン汁、すだちなどを少量加えることで酵素の働きがピタリと止まり、ビタミンCを安定状態で保持できます。
- おろし汁を捨てない:大根をおろした際に出てくる水分には、大量のビタミンCと大根ジアスターゼ消化酵素(アミラーゼ)が溶け出しています。汁を絞って捨てるのは、凝縮された栄養液を破棄しているのと同じです。
大根に含まれるジアスターゼは、炭水化物の消化を促進し、胃もたれや胸やけを和らげる働きを持ちますが、この酵素は約50〜70℃の熱で変性し活性を失います。ビタミンCと胃腸をいたわる消化酵素の両立を狙うなら、生のすりおろしを汁ごと料理に添える食べ方が理想的です。