この狂乱の時代を冷静かつ克明に記録したのが、作家・本橋信宏によるノンフィクション『全裸監督 村西とおる伝』だ。現場の熱気と人間の業(ごう)をありのままに描いた原作は、昭和のアンダーグラウンド史としても極めて価値が高い。
この骨太な原作を映像化したのが、武正晴総監督だ。武監督は、単なるノスタルジーやスキャンダリズムに陥ることなく、過激な人間ドラマとして作品を昇華させた。疾走感あふれる演出と緻密な時代考証により、スクリーン越しに当時の匂いと汗が漂ってくるかのような迫真のリアリティを創出してみせたのだ。