なぜ「ず」ではなく「づ」と表記しなければならないのか、その理由は語の成り立ちを分解すると極めてシンプルに理解できます。「見えづらい」は、動詞「見える」の連用形に、苦痛や困難を表す接尾辞の「辛い(つらい)」が合体してできた言葉です。
日本語では、2つの言葉が結びつく際に後ろの語頭が濁音に変化する現象(連濁)が起こります。「つらい」の頭文字である清音の「つ」に濁点がつくため、論理的必然として「づ」になります。「月(つき)」に濁点がついて「三日月(みかづき)」になるのと同じ構造です。
では、なぜ「見えずらい」という誤用がこれほど広まってしまったのでしょうか。その最大の要因は、現代の共通語において「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」の発音上の区別が失われたこと(四つ仮名の統合)にあります。耳で聞く音としてはどちらも[zu]であるため、表記する際に「打消しの『見えず』+接尾辞」のような誤った語源意識が働き、「見えずらい」と打ち込んでしまう人が後を絶たないのが実情です。