上用饅頭が一般的な饅頭と一線を画す最大の理由は、原材料に山芋(つくね芋・大和芋)と上用粉を用いている点にあります。
通常の小麦粉饅頭では、ベーキングパウダーや重曹(炭酸水素ナトリウム)、イスパタなどの膨張剤を使って生地を膨らませます。しかし、正統派の上用饅頭は化学的な膨張剤を一切使いません。山芋をすり鉢で極限まで丁寧におろし、砂糖を加えて泡立てることで抱え込まれる微細な空気の気泡と、山芋特有の粘性タンパク質(粘液糖タンパク質複合体)の熱凝固力を利用して膨らませます。
和菓子職人が使用する山芋にも強いこだわりが存在します。水分が多く粘りの弱い長芋は使われず、固形分が多く粘度が極めて高い「つくね芋(丹波篠山産などが有名)」や「大和芋」が厳選されます。これに合わせるのが、うるち米を水洗いして乾燥させ、胴搗き(どうづき)製粉で微粒子に粉砕した最高ランクの米粉「上用粉(じょうようこ)」です。
すりおろした純白の山芋と上用粉が融合することで、蒸し上がった生地は雪のように冴えわたる白さを放ち、口に含むとしっとり吸い付くような独特の弾力と、ほのかな山の香りを生み出します。