日本国内で家屋内に侵入し、人間に実害をもたらす代表格がトビズムカデとアオズムカデです。どちらもオオムカデ目オオムカデ科に属し、歩肢の数は共通して21対(42本)です。
トビズムカデは日本本土に生息するムカデの中で最大級の種であり、体長は15cm前後に達し、大きな個体では20cm近くまで成長します。頭部と胴体が赤褐色から暗褐色、足が鮮やかな黄色やオレンジ色をしており、視覚的にも強い警戒色を放ちます。毒腺から分泌される毒にはセロトニン、ヒスタミン、ポリペプチド溶血毒が含まれており、噛まれた瞬間に焼けるような激痛が走り、患部が赤く腫れ上がります。
一方のアオズムカデは体長8〜10cm程度とトビズムカデより一回り小型ですが、頭部が暗緑色(青みがかった黒色)をしており、足先が黄色または橙色をしているのが特徴的な見分け方です。サイズこそ小さいものの、毒性はトビズムカデと同等以上に強力であり、攻撃性も高いため、草むらや庭石の隙間、靴の中に潜り込んだ個体に不用意に触れて被害に遭うケースが頻発しています。
なお、ムカデの先頭にある「毒牙」は、解剖学的には足(歩肢)が進化した「顎肢(がくし)」と呼ばれる器官です。つまり、獲物を捕らえて毒を注入する牙そのものが、進化の歴史の中で歩く機能を捨てて攻撃特化へと作り変えられた足の一部に他なりません。