法律実務において、事業所の捉え方は非常にシビアです。特に押さえておくべきが労働法と社会保険法における扱いです。
労働基準法では「事業所」ではなく「事業場」という用語が用いられます。原則として本社と支店はそれぞれ独立した「別個の事業場」として扱われます。例えば、全社で社員が500人いても、とある支店の従業員が9人であれば、その支店単体では労働基準法上の「衛生委員会の設置義務(常時50人以上)」は発生しません。36協定の締結や就業規則の届出も、原則として事業場ごとに行う必要があります。
一方、健康保険や厚生年金保険の世界では「適用事業所」という言葉が使われます。法人の事業所、または常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所(一部業種を除く)は、法律によって社会保険への加入が義務付けられています。
社会保険も原則は支社や営業所ごとに適用事業所として年金事務所へ届け出ますが、人事労務や給与計算が一括して本社で管理されている場合などは、厚生労働大臣の承認を受けて「一括適用」とすることも認められています。雇用保険においても同様に、事業所ごとの設置届と管理がベースとなります。