2011年3月11日。想像を絶する大津波が太平洋から押し寄せた。福島第一原子力発電所事故の発生時、免震重要棟で指揮を執っていたのが、当時の所長・吉田昌郎氏だった。資料館の一角には、極限状態の中で彼と本店、そして官邸との間で交わされた泥臭く生々しいやり取りの記録が展示されている。電源を失い、計器類が沈黙し、水素爆発の恐怖と背中合わせのなかで、いかにして決断が下されたのか。
死を覚悟しながら現場にとどまり続けた作業員たちの苦闘は、のちに「Fukushima 50」として世界中に知れ渡ることとなった。資料館の展示は、彼らを単なる英雄として神格化するのではない。設備機器の損傷状況、判断ミスや想定の甘さも含め、組織としてどのような限界に直面したのかを冷徹に検証する構成になっている。その勇気ある告白こそが、この施設が持つ最大の価値と言えるかもしれない。